ミツバチにシュウ酸滴下(バロア対策)

冬備えのすんだハチたちには大迷惑だったろうが、今日は巣箱を開けて巣枠と巣枠のあいだ(シームという)で活動しているハチたちにシュウ(蓚)酸を浴びせた。

ダニ対策だ。

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シュウ酸、注射器、ステンボール

ダニ対策はいろいろあるが、このダニ対策ではシュウ酸液をハチに降りかける。具体的には、水と砂糖を等量混ぜた溶液に対してW:V 3.2%のシュウ酸液を作る。巣箱には巣枠5枚分のハチがいると見なして、この濃度のシュウ酸液が30mlほど必要になる。それを注射器でハチたちに滴下するのだ(シュウ酸液の作り方はここ参照)。

シュウ酸は毒物ではないが劇物だから、取扱にはそれなりの注意が必要!!!

砂糖水を先に作るとシュウ酸が溶けにくくなるので、湯煎した温水にシュウ酸を溶かしてから砂糖を入れてかき混ぜる。今回のシュウ酸量が2.6gと微妙なので、1g単位の料理用のスケールでは厳しかった。微量を追加しつつ1g、2gを突破する量と、逆に減らしながら2g、1gを切る量が同じにはならない。それを比較して、目分量でその中間を取った。

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シュウ酸シュウ酸溶液を50mlの注射器で吸い上げる

シュウ酸は劇物に指定されているので、通販では入手できない。近くの薬局などで取り寄せる必要がある。漂白などにも使う一般的なシュウ酸は500gが1,000円程度になる。写真のものは試薬だったので倍以上の値段だったが、これは薬局の都合で、そんなに高品質である必要はない。

お気づきだろうか。写真がぐっと鮮明になった。じつはカメラが趣味の山仲間から、ニコンのCoolpix P340 という正統デジカメを頂戴した。当方があまりにボケた映像をアップするもので、たまりかねたのかもしれない。多機能でまだほとんど使いこなせていないのだが、同じVGAで撮っても解像度の違いは一目瞭然。今日は動画を撮る余裕はなかったが、いずれトライしてみよう。なにはともあれ、山仲間に多謝。


防寒装備を解いて、巣箱を開く。

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冬備えの巣箱ひさびさに巣箱を開ける
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6シームのハチに注射器でシュウ酸液を滴下した

ハチの体温を下げないように注射液は温めておいた。滴下しだした直後こそ、すこし騒々しくなったが、それもすぐに収まり、意外なほどあっけなく処置は終わった。

ちょっと、ミツバチのダニ対策につい説明しておこう。

いっときミツバチ・コロニーの壊滅(CCD)現象が新聞の紙面をにぎわせた。犯人は一部の農薬ではないかと問題になったこともある、というかいまでも問題は問題だが。しかし、その後の調査が進んで、いまではミツバチに寄生するダニが宿主のハチの体力を奪い、ダニの媒介する各種のウイルスや原虫が衰弱したハチに感染することによって、ハチ群全体が罹患して滅亡するというプロットがもっとも有力と考えられるようになってきた。

普通、寄生生物はその宿主をたおすほどに悪さをすることはない。そうなれば、自分自身の居場所がなくなるからだ。しかし、ミツバチの世界ではちょっと事情が違っていた。それは、本来セイヨウミツバチとトウヨウミツバチ(ニホンミツバチを含む)という棲息域の異なるハチが、人間の養蜂とい営為を通じて交流したことにある。それによって、セイヨウミツバチを宿主とするアカリンダニとセイヨウミツバチを宿主とするバロア(ヘギイタダニ)が互いの主人を取り違える事態が生じた。

セイヨウミツバチはアカリンダニに抵抗力があるがバロアにはない、どうようにニホンミツバチはバロアに抵抗力があるがアカリンダニにはない。その結果、バロアはセイヨウミツバチの蜂児巣房(ほうじ すぼう)に入り込んで蜂児の栄養分を吸収し、アカリンダニはニホンミツバチの気管に侵入して呼吸機能を傷害した。こうして、ダニがハチを衰弱させCCDへと導く結果を招いたらしいのだ。

現状、セイヨウミツバチ、ニホンミツバチを問わず、養蜂家にとってはダニ対策が最重要の課題になっている(前の記事で取り上げたエミーユ・ワルレの時代にはまだこの手のダニ問題は発生していなかった)。セイヨウミツバチのバロア対策としては、化学薬品を筆頭に多くの手法が考案された。いずれ一長一短あるのだが、ダニが薬品に対する抵抗を獲得することを考えると、どれかひとつの手法が万能の処置となることはありそうにない。結局は、同じ手法を繰り返すことは避けて、異なる手法のローテーションでダニを抑制する方向へ進みそうだ。

話は長くなったが、そのダニ対策のひとつがハチへのシュウ酸滴下である。シュウ酸はダニを殺すが、ハチにはほとんど影響しない。ただし、蓋のできた蜂児巣房に入り込んだダニには効果がないという弱点がある。そのため有蓋蜂児巣房(ゆうがい ほうじ すぼう)のもっとも少なくなる冬至のころに処置するのだが、今年は暖冬ではたして期待通りになるか疑問が残る。

シュウ酸(Oxalic acid)は劇薬に指定されているが、カタバミ(オキザリス)やホウレンソウに含まれている有機酸だ。ポパイならずとも、濃度が低いものは人がふつうに食べている。また、シュウ酸自体は蜂蜜にも自然に存在する物質だから、化学合成した薬品のような人体への悪影響は考えにくい。

シュウ酸をハチに与える方法は、蒸散、撒布、滴下とあり、それぞれに特徴があるが、これについては ScientificBeekeeping.com の「Varroa Management」に詳細な報告がある。

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待望の記事!!

悩み解決の記事です。シュウサンを見つけて2300円で3日前に購入しました。 バッテリー熱源での気化熱処理する考えでしたが変更しようかと考えます。

No title

当方、最近のブログ「セイヨウミツバチは消滅…」で報告した程度のスキルですので、ほどほどの参考に願います。シュウ酸を昇華させる方法は、自作するには温度調整が難しく、信頼性のある器具だと4万円前後するので諦めました。

なおhttp://ojer.blog135.fc2.com/blog-entry-677.htmlにも書いたようにシュウ酸滴下は短期間に繰り返すと、大量の死バチを出します。気をつけてください。

参考までにランディー・オリバー氏による、シュウ酸の使い方の最新情報をお伝えします。当方は、まだ試していません。

「シュウ酸をグリセリンと湯に溶かして、それをショップタオルに浸み込ませて巣枠の上に置く」

作り方は下記参照
http://scientificbeekeeping.com/oxalic-shop-towel-updates/
OJer

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OJerBlog更新:2016/11/30

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