ワルレ(Warré)式の養蜂システムについて

ミツバチの資料をあちこち漁っているうちにWarré Beekeepingというサイトに遭遇し、その内容に思わず引き込まれた。Émile Warré (1867-1951) というフランスの僧侶が作り上げた養蜂システムについての実践的解説サイトだ。この名前の発音はフランス語だとエミーユ・ワルレか、サイトは英語なのでエミール・ウォーレとなるのだろう。ここでは「ワ式」養蜂システムとしておく。

写真はすべて上記サイトより
無題
ワルレ師と巣箱

何に興味を持ったかというと、この僧が350余種類ものさまざまな巣箱で試した結果として、簡単で、経済的で、ハチに優しく、そして、ハチのおこぼれとしてのハチミツを人が頂戴する養蜂システムを確立したことにあった。

上記のサイトによれば、ワ式巣箱は、巣枠は使わず上桟(トップバー)だけをはめた同型の箱を積み重ねたものである。ヮ式養蜂の特徴は次のように要約される。

●巣箱は内寸300 x 300mmの四角形で高さは210mm、外側に取っ手を着ける。
●24mm幅の上桟8枚を巣箱上辺の切り込みにはめて36mm間隔に並べる(巣枠は不使用)。
●上桟には蜜蝋のスターターを塗る(巣脾は不使用)。
●巣底は巣門15 x 120mmを備えた平板で、離着陸台を付ける。
●最上段の巣箱の上桟は粗い布で覆う。
●巣箱と同じ四角形で高さ100mmの木箱の底に布を張り、ワラやおが屑などを中に入れる。
 これを「キルト」と呼び、最上段の巣箱の上に置く。
●換気用の屋根裏を持つ切り妻屋根(底部はネズミ除けの板敷き)をキルトに被せる。
●巣箱を増設する(継箱)ときは下から行う。
●収穫は流蜜期が終わってから、最上部の数箱からハチの巣ごと蜂蜜を頂戴する。
●越冬は12キロの蜂蜜を巣房に残した巣箱2つで行う(フランス北部の場合)。
●収穫した蜂蜜は、巣房からの流下、あるいは圧搾、遠心分離などで取り出す。
●春には、スターターとなる上桟か巣を残した巣箱をいくつか増設する。

厳密に言えば、ワ式の核心となる特徴は、蜜を収穫するただ1回以外は巣箱を開けないことにある。継箱は下から行うので、熱や空気を巣箱から逃すことがない。巣内の匂いと熱を維持することの重要性は、ワ式の後継者らによって論じられている。


ここまで書くと、多少ミツバチのことをかじった人には、なんだこれニホンミツバチの養蜂そっくりじゃない、と思うだろう。実際、このサイトのなかで、「ワ式に似た日本の養蜂(Warré-like beekeeping in Japan)」というページがある。

無題vent 換気口

roof 切り妻屋根

quilt キルト

cloth 粗布

top bar 上桟

box 巣箱

floor 巣門と巣底
ワ式巣箱

世界的にはアメリカの、やはり僧侶ラングストロース Lorenzo Lorraine Langstroth(1810-1895)の考案した巣箱をもちいた養蜂システムが普及している(ラ式)。日本でもそうだ。当方の購入したミツバチもラ式巣箱に入って我が家に届けられた。この9月に、なるべく経費を抑えて最小限のハチと装備・設備でスタートしたが、来年以降のハチのコロニーの成長を考えると、巣枠、巣脾、巣箱を増やし、疑似花粉やダニ対策薬品を購入しと、次から次へと出費がかさむ。

現在のホビーとしての養蜂、とくにセイヨウミツバチのそれは、あまりにも商業ベースに取り込まれているのではないか。素人が養蜂をはじめようとするとき、「スタートキット」なるものを業者のいいなりに買えば軽く20万円を超えることになる。到着した巣箱を見ても、ただハチが住むだけの箱にこんなに込みいった構造は要らない。採蜜地を訪ねて全国を回る養蜂業者の移動用巣箱を前提としたスペックになっているのでこんなに面倒な構造なのだ。それを、自宅の庭に固定して使うだろう素人が買う必要はまったくない。

あれも、これもと指折り数えているうちに、なんだかバカバカしくなってきた。素人には、ラ式のように蜂蜜の収穫量を最大化するため手間と費用を投じる必要はない。ハチと遊んで、多少の世話をさせてもらって、お裾分けをいただければ、それで楽しい。そんなふうに感じだしたころに、このサイトに遭遇したという次第だ。

ただ、普及しているラ式から外れた養蜂を行おうとすれば、すべていちから自分でやる必要がある。あれこれ検索してもワ式をテーマにしたサイトは国内にはないようだ。これからは、辞書を片手の資料サーベイと、設備の工作を自力で進めなければならない。まあ、好きでやってんだから苦にはならないけどね。ははは。

というわけで、今後、ワ式養蜂システムについて、当方のわかり得たことや、工作の過程を順次紹介してみようと思っている。

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OJerBlog更新:2016/11/30

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