デジタルアンプの落とし穴

2月に購入したデジタルアンプのNmodeのX-PM2Fは実はいささか問題があった。いまは解決したが、その経緯を書いておこう。使い始めて間もない頃、マニュアルはアンプのエージングを勧めているので、聴いていないときも昼夜電源を入れておいた。X-PM2Fはアイドリング状態で7ワットしか消費しない。しばらくして、横並びに置いてある地デジ受信機でNHK総合が、電波が受信できないというメッセージが出て放送が映らなくなってしまった。ほかのチャネルはなんともない。はじめは気象のせいだろうと思っていたが、いつまでたっても直らない。NHKの相談窓口に電話をしてみるかと考えはじめたあるとき、X-PM2Fの電源をオフにすると電波障害がなくなることに気付いた。地デジの電波障害とX-PM2Fの電源のオン/オフが完全に連動している。

アンプの位置を動かして影響を見ると、どうもアンプからNHK総合を妨害する電波が出ているようだ。実際、普通のラジオをアンプに近づけてみると相当な雑音電波が発生していることを確認できた。これはメーカーに対処を依頼する以外ない。メールを出すとすぐに返事があって、数週間して電波シールドの対策をした同じアンプが送られてきた。早速試して見た、ところがどっこい、当初のアンプより障害が出やすいものだった。最初のアンプは障害が発生するまで数時間を要したが、これは電源を入れると即、NHK総合が映らなくなる。結果を連絡すると、もうひとつ思いつくカ所があるので、もう一度対策アンプを送るという。茨城からショップの福岡を経由してメーカーのある鹿児島までアンプの行ったり来たりである。

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X-PM2Fが2台!!!

 で、先週になって2台目の対策アンプが届いた。それをテストしているのがこの写真で、それで対策前・対策後の同じアンプが2台並ぶことになった。さいわい、2台目で問題は解決した。NHK総合を邪魔する電波は完全にシールドされたようである。ただ、もう発売されて大分経つはずのアンプで、この障害がいままで見つかっていなかったのが不思議といえば不思議である。もっともこのアンプで地デジの音を聴こうなどと誰も考えないのかもしれないが。

蛇足になるが、なぜアンプが水戸NHK総合の515MHzという非常に高い周波数にまで影響する妨害電波を出すのか? デジタルアンプを支えている理屈に情報工学のシャノンの定理がある。伝送したい信号の最高周波数の2倍の周波数でサンプリング(標本化)すれば、もとの信号は完全に復元できるというやつだ。つまり、アナログ信号をそのまま送ろうとすればその信号を流している間は完全にその伝送路なり回路は占有されてしまうが、この標本化定理によれば、適当にサンプリングした信号だけまとめて送れば、受け取った側で元のアナログ信号を完全に復元できる。途中の伝送路や回路は断続的に使用するだけですむ(伝送路なら時分割共用が可能になり、回路なら特性への要求が軽減される)。人間が聞こえるのは20キロヘルツ程度までだから、オーディオ信号なら40キロヘルツ程度でサンプリングしてやればいい。これがCDの標本化周波数44.1キロヘルツを支えている原理になる。

ところが信号自体は完全に復元できても、DA変換にともなう雑音の発生が問題になった。この雑音は聴覚でもはっきり分かるので避ける必要がある。そこで登場するのがオーバーサンプリングの手法だ。オーディオなら40キロ・ヘルツくらいで十分だが、これを何倍かして標本化しておき、DA変換するときは余分のサンプルは間引けばいい。そのほうが主要な雑音が可聴範囲外で発生することになり聴覚に影響する雑音が少なくなる。手元のDACでも標本化周波は44.1、48、88.2、96、192キロ・ヘルツとある。X-PM2Fの場合は、なんと24.576メガ・ヘルツである。それでもNHK総合には届かないが、原信号には高調波(元の信号周波数の整数倍)が派生するから、アンプの標本化周波数の高調波がNHK総合に影響することは十分考えられる。実際、515は24.567のほぼ21倍になっていた。

デジタルアンプの思わぬ伏兵は退治できた。これで安心して音楽を聴くことができる。

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他界した友人と真空管アンプの思い出(「真空管アンプと…………」改題 2012/03/16)

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OJerBlog更新:2016/11/30

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