ニホンミツバチの巣の末期

気は進まないが、放棄されたのちのニホンミツバチの巣の末期を記録しておこう。

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9月1日 逃去直後

↓残留バチは居るが左側の巣板にうっすらと白いものが見える。スムシが巣を張りだしたのだ。

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9月4日 左の巣板からスムシの進攻が始まる

↓やがてスムシが巣がはっきりと見えるようになる。

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9月7日 スムシの巣がはっきりと見える

↓あっというまに巣は変容して塊となり、ハチたちは右側に追い詰められてゆく。ハチの体色が黒くなっている。

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9月11日 ハチたちは追い詰められた

↓もうハチたちは消滅した。巣板もほとんど原形をとどめない。このようにハチの巣を溶かしてしまうのはスムシの分泌する酵素だろうか。右の壁に滴るのは巣房が崩れて滴り落ちた蜜のようだ。白い蛾がスムシ(ハチノスツヅリガ)の成虫。

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9月13日 ハチの姿は見えない

↓巣内を撮影するため扉を開けると、巣のデブリが落ちていた。蜜が滴るので内部の撮影は諦めた。白い蛆がスムシの幼虫。

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9月18日 ハチの巣のデブリ

↓デブリと取りだして内部を撮影。まだ巣の塊が残っている。

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9月20日 まだ巣の塊が残っていた

↓翌日、完全に巣は落ちていた。

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9月21日 すべての巣が落ちた

デブリを巣内から取りだして、巣のそばに置いた。まだ中に蜜や幼虫の遺骸が残っているのかオオスズメバチがさかんに飛来してせせっている。




オオスズメバチの執拗な攻撃

数日留守をしてニホンミツバチの巣箱を見に行った。もはや巣門にミツバチの姿は見えず、巣内はスムシ(ハチノスヅヅリガ)の巣窟と化している。経過観察のために写真は撮っているが公開するに忍びない。

しかし、オオスズメバチの来襲は止まない。飛来するオオスズメバチの行動を見ていると、まず巣箱の周囲を一巡してから、防御用のトリカルネットの特定の場所へ止まる。

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飛来するオオスズメバチはどれもほぼ同じ場所にとまる

オオスズメバチは餌場(ミツバチの巣)を見つけると何回か飛来したのちに、確実な餌場についてはファンデルフェヒト腺フェロモンを腹部体節末端の腹側から噴射してマーキングする(ミツバチのナサノフ腺フェロモンと類似の働きをする)。すると、そのフェロモンが仲間を呼び寄せて集団攻撃が開始される。通常、単独で飛来したオオスズメバチは人が近づいても攻撃してくることはない。しかし、いったんその場所がマーキングされると、自分の巣に対するのと同様に接近するものに攻撃反応を示すようになる。だから、ミツバチの巣箱に数匹のオオスズメバチが集まって行動しているときは、うっかり近づくと危険だ。

同じ場所にオオスズメバチが止まるというのは、留守のあいだに、わがニホンミツバチの巣はすでにマーキングが終わった証左となる。だから、巣内にハチはいなくてもオオスズメバチは執拗に飛来する。巣箱の脇に置いた粘着トラップはすでに満杯になっていて、すぐに交換したが、たちまちこのありさまになった。



雑談

ニホンミツバチはスズメバチに対していくつかの防御行動をとる。なかでも最近、こんな行動が報告されている。

「最初に斥候としてやってくるオオスズメバチが去った直後に、ニホンミツバチが植物から齧り取ってきた葉や芽、花弁を巣の入り口に塗る付けること、さらにその植物の情報を迅速に伝えるために、普段は踊らないはずの入り口で、ダンスを踊ることを発見しました。他のキイロスズメバチやコガタスズメバチではこれらの行動は確認されず、オオスズメバチに対する特異的な防御行動であると考えています」。『日本みつばちの会だより』2017年5月号の「藤原愛弓氏 講演要旨」より。

固定的と思われる天敵に対する防御反応にもこうした進化らしい行動の変化が現れるのだろうか、あるいはたんにこれまで気づかなかっただけか。

スムシの進攻

恐れていたことがおきた。スムシの進攻が始まったようだ。左側の巣板の間にクモの巣が張ったように見えるのはスムシの巣だ。スムシは、ハチノスツツリガという白いガの幼虫で、ハチの巣を食い荒らす。

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左からスムシの進攻が始まった

スムシは巣内に必ずいるものだが、群が健全なあいだはハチたちが巣房への侵入を防いでいる。しかし、このように群が弱体化するとハチに防御する余力がなくなってしまう。これからはスムシの巣がどんどん増えて巣内にスムシが跋扈することになる。

この様子だと働きバチ産卵によってオスバチを育てるひまもなく群は消滅するかもしれない。

その後のニホンミツバチ

1年半楽しませてもらったニホンミツバチは去った。どこかに居心地の良い木の洞を見つけたか、あるいは、だれかの蜂場の待ち箱に逃げこんだか。いまにして思えば逃去の原因について、心当たりがなくはないが、それは今後の参考とするとして、ハチたちが快適な生活を続けていることを願っておく。

逃去群に置き去りにされて残ったハチはいまでもそのまま生活を続けている。現在は、巣箱の段数を減らして、7枚の巣板のある最上段と空洞の2段の3段構成になっている。いまでもときどき、3段目の扉を開けてカメラを差し込み巣内を観察している。

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3段構成にした巣箱

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まだ結構ハチが残っている

女王フェロモンの抑制から解かれた働きバチはもうじき産卵を始める。やがて働きバチは体色が黒くなってテラテラと光り出すそうである。そして、20日もすると、働きバチの卵から孵化したオスバチが増え出すだろう。いずれもまだ話しに聞いただけなので、これから実体験することになる。

空しい世話ではあるが、蜂場に通っているといろいろなことが起きる。

巣箱の段数を減らそうと屋根を取り外したときだ。最上段の上桟の上に瀕死のキイロスズメバチが横たわっていた。トリカルネットをくぐりぬけ、ここまで上がってはきたものの、あえなく返り討ちにあったらしい。それにしても、数の少なくなったハチたちがまだ闘争本能を失っていなかったことに感激した。

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瀕死のキイロスズメバチ よくもここまで侵入したものだ

さらに、巣箱の片付けをしていると、足下の草むらでセミの鳴き声がした。通常の鳴き方とは違って、なにか切迫感がある。草をかき分けてみると、カマキリがアブラゼミを補食していた。セミの断末魔の叫びだったわけだ。こちらのカメラに気づいたカマキリはセミを放して逃げ出した。しばらくしてから戻ると、セミもカマキリも姿がなかったので、あるいはセミは助かったかもしれない。

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 アブラゼミを補食するカマキリ

巣門に目をやると、何かをくわえたハチが飛び出してきた。重すぎたのか、飛び去ることができず地に落ちた。それでも飛び立とうと枯葉の上で必死でもがいている。よく見れば死んだ幼虫をくわえている。このハチは巣内の掃除をしようとしていたのだ。女王がいなくても、まだ働きバチとしてなすべきことを本能的にしようとしている。健気だ!

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死んだ幼虫を運ぼうとするハチ

逃去の前日設置したオオスズメバチのトラップはそのままにしてある。最初に囮を2匹置いただけで、なにもしていないが、現状はこうなっている。

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少なくも5匹はまだ生きている

おおかたのニホンミツバチは去ったが、まだまだ観察することはありそうだ。

ニホンミツバチ去る

ニホンミツバチが逃去したようだ。

昨日、オオスズメバチのトラップに囮を置いたとき、ニホンミツバチの巣門にハチの出入がほとんどなかった。オオスズメに襲われると和バチは巣内に引きこもってやり過ごす知恵がある。だから巣門に姿がなくても不思議はない。しかし、気にはなったので、巣箱に耳を当てて側面をノックしてみたが、シマリングの応答がなかった。少し嫌な気がした。

今朝、巣箱に近づいてもハチの姿がない。巣箱をノックしても応答しない。

巣内の写真を撮ってみると、ほとんどハチがいない。これは逃去としか考えられない。

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ほとんどハチがいない

つい数日前には巣内はこんなだった。

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3日前の巣内

なにをしていいのかわからず、しばし呆然。

こうなったら巣を開けて確認するしかない。

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最上段にほとんどハチはいない

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2段目にはまだ動き回るハチが

巣の作られている1段目と2段目を見る。1段目はほとんど空だが2段目にはまだいくらかハチが残っていた。逃去は決定的だが、これからどうすればいいか。

一度巣箱を元へ戻して、しばらく考えてみた。

いくらかハチは残っているが、この巣にはもう女王がいない。女王のいない群は、今後、消滅の一途をたどるしかない。春先の増勢の最中ならば巣内に次期女王候補となる王台がいくつかあって、それから新し女王が育つ可能性はあるが、今の時期ではそれは望めない。女王のいない群は、いままで働きバチの産卵本能を抑えていた女王フェロモンが巣内に供給されなくなるので、働きバチが産卵を始める。しかし、働きバチは受精していない。ハチの場合、無精卵でも孵化するが、産まれてくるのはすべてオスになる性質がある。オスは生殖以外なんの働きもしない。産まれてくる働きバチがいなければ、養い手がしだいにいなくなり、いずれ消滅することになるのだ。

しかし、まだハチは生きている。ここで巣を始末してしまってはハチたちは路頭に迷う。ただし、このまま放置すると巣箱はスムシの巣窟となる。それが自然のサイクルであると、スムシに巣の掃除をまかせる人もいるようだが、そうすれば巣内は目を覆うような惨状となる。とりあえず空になった最上段は取り外し、まだハチのいる2段目以降はこのままにしてハチたちの行く末を見守ることにした。

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1段減らした巣箱

最上段の巣箱を外して巣枠を取りだしてみた。これらの巣枠は、最初にミツバチたちが飛来してくれたときに、待ち箱に使ったラングストロース式巣箱から、この巣箱の巣枠へ移したときの名残だ。竹串が通してあるのは、巣板を支えるためだった。当時のできたての軟らかい巣では竹串はあまり支えにならず、大きな巣は落ちてしまったが、これらはまだ巣が小さかったので上桟に固定できた。ほとんどはそのあとハチたちが構築した巣である。

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最上段の巣枠

巣板は刃物で切り取ってビニール袋に移し、あとで蜜蝋を作ることにした。わずかに蜜の残った巣もあったので、それは切り分けて垂れ蜜を採ってみようと思う。

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わずかに蜜の残った巣

すでにセイヨウミツバチは亡く、ニホンミツバチも去った。とうとう、ぼくはハチ飼いではなくなってしまった。

ハチの様子を見ることが生活のリズムのようになっていたので、ストンと支柱が外れたような感覚だ。いやあ、参ったなあ。
OJer

清見寺 五百羅漢

OJer

OJerBlog更新:2016/11/30

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